湖北省日系企業、短期的な事業縮小が大幅増、中期的には現状維持(中国)

ジェトロでは年に数回、中国の武漢日本商工会の協力の下、湖北省進出日系企業を対象に、同省のビジネス環境に関する実態把握を行っている。今回は2023年7月26日から31日にかけて実施、80社から回答を得た[武漢日本商工会の会員企業は162社(7月時点)、回答率約49.4%]。本稿では、2022年に行った調査結果と今回の結果を比較しつつ(2022年8月17日付2022年12月21日付2023年5月9日付地域・分析レポート参照)、2023年7月末時点の同省日系企業の実態や事業展開の意向などを紹介する(注)。

译:日本贸易振兴机构携手中国的武汉日本商工会,每年对湖北省的日资企业进行多次调查,以掌握该省实际营商环境。本次调查实施于2023年7月26日至 31 日,共收到80家企业的回复[武汉日本商工会的会员企业共162 家(截至7月),回复率约为 49.4%]。 本报告对2022年的调查结果与本次调查结果进行了比较(参照 2022 年8月17日、2022年12月21日、2023年5月9日的地区分析报告),并介绍了截至2023年7月底湖北省日资企业的实际情况与业务发展意向(见注)。

2023年事業について「規模縮小」が大幅増、6割超え

对于2023年业务,超六成企业选择 “缩小规模”,占比大幅上升

今回の回答企業の属性をみると、企業所在地別では武漢市が多く、全体の83.8%を占めた(図1参照)。企業規模別では、大企業が62.5%(図2参照)、業種別では製造業が65.0%を占めた(図3参照)。

译:从本次调查的企业属性来看,按企业所在地划分,多数企业位于武汉市,占总数的 83.8%(见图 1)。 按企业规模划分,大型企业占 62.5%(见图 2);按行业划分,制造业占 65.0%(见图 3)。

図1:企業所在地(n=80)
図2:企業規模(n=80)
図3:業種(n=80)

2023年のビジネスについて尋ねたところ、「当初予定から規模を縮小」(63.8%)が前回調査(2023年3月実施)より27.7ポイント上昇し、「おおむね年初計画通り」(31.3%)を上回り最多となった。なお、「おおむね年初計画通り」は前回調査より24.3ポイント減、「当初予定から規模を拡大」(3.8%)も1.8ポイント減となった(図4参照)。

译:当被问及 2023 年的业务时,约63.8%的受访企业选择“在原计划基础上缩小规模”,较上次调查(实施于2023年3月)增加了27.7个百分点,超过了选择“基本按年初计划执行”的比重(31.3%),占比最大。而选择“基本按年初计划执行”的比例较上次调查下降了24.3个百分点,选择“在原计划基础上扩大规模”的比例(3.8%)也下降了 1.8 个百分点(见图 4)。

中国国家統計局が8月15日に発表した7月の主要経済指標によると、消費(社会消費品小売総額)は前年同月比2.5%増だったものの、前月と比べると伸び幅が0.6ポイント減少した。また、商品小売りのうち、自動車関連は前年同月比1.5%減と減少した。自動車については、新エネルギー車を除き、販売が伸び悩んでいる。日系の完成車メーカーも一部で販売低迷に直面しており、受注が減少する日系メーカーも少なくない(2023年7月4日付ビジネス短信参照)。新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)関連の規制緩和後も、中国での消費の伸び悩みに加え、新エネルギー車を除く自動車の販売不振などもあり、多くの自動車関連企業を含む在湖北省日系企業は、足元ではビジネスが思うように復調していないようである。

译:中国国家统计局于8月15日发布的7月份主要经济指标显示,消费(社会消费品零售总额)比去年同期增长了2.5%,但增幅比上月回落 0.6 个百分点。 此外,在商品零售中,汽车相关产品比去年同期下降了1.5%。 在汽车方面,除新能源汽车外,销售一直不景气。 一部分日资整车制造商面临销售低迷的问题,不少日本制造商的订单量也有所减少(详见2023年7月4日商务简报)。 即便放开了对新型冠状病毒(以下简称新冠)相关的管控后,中国的消费增长疲软、除新能源汽车外的汽车销售不佳等情况依旧存在。包括许多汽车相关企业在内,湖北省日资企业目前似乎并未像预期那样恢复业务。

図4:当年の事業実施計画について

中期事業展望では「現状維持」もしくは「規模拡大」が約6割

对于中期业务发展方向,约六成企业选择“维持现状”或“扩大规模”

2025年以降の中期事業展望について尋ねたところ、約6割の企業が「現状を維持する(見込み)」(38.8%)もしくは「規模を拡大する(見込み)」(23.8%)と回答したことから、中期的なビジネス展開の方針に大きな変化は生じていないと考えられる。一方で、「規模を縮小する(見込み)」を選択する企業について、前回調査から6.4ポイント増加しており、ビジネス環境の不透明さや自動車市場の不況などの影響をある程度受けているようにみえる(図5参照)。

译:当被问及2025年以后的中期业务发展方向时,约 60% 的企业回答将“维持现状(预期)”(38.8%)或“扩大规模(预期)”(23.8%),这表明企业的中期业务发展战略没有发生较大变化。 另一方面,选择“缩小规模(预期)”的企业数量较上次调查增加了 6.4 个百分点,这似乎在一定程度上受到了商业环境不确定性和汽车市场低迷的影响(见图 5)。

図5:2025年以降の中期事業展望について

2023年3月の調査から選択肢を一部追加・修正した「今後の中国事業での改善・見直しについて」(複数回答可)では、「取引先の多様化」と回答した企業が58.8%と最も多かった。中国では自動車市場の不況を受け、既存の取引先以外の取引先を開拓しようとする当地日系企業も少なくない。回答企業の中には自動車関連企業も数多く含まれていたことから、こうした状況が今回の結果に反映されたと考えられる。

译:在 “关于改进、重审今后在华业务”(可多选)这一问题中,与2023年3月的调查相比,增加或修改了部分选项。其中回答“客户多元化”的企业占比最高(58.8%)。因为中国汽车市场的不景气,当地许多日资企业都在努力发展现有客户以外的客户。由于受访企业中相当一部分是汽车相关企业,因此上述情况在本次调查结果中有所反映。

「部品や部材などの調達先のさらなる多様化」は41.3%、「現地調達率のさらなる引き上げ」は40.0%と、前回調査(いずれも37.0%)よりもそれぞれ増加した。

译:分别有41.3%和40.0%的受访企业选择了 “丰富零部件和材料供应商” 和 “提高本地采购率”,相较于上次调查占比有所上升(均为 37.0%)。

また、「日本人駐在員の縮小、現地職員への切り替え」と回答した企業は38.8%となっており、前回調査より12.9ポイント上昇した。新型コロナにかかる防疫規制は2023年1月までにほとんど撤廃され、各種活動における制約が除去され利便性は大きく向上したものの、日本人駐在員減少の傾向は続いているようだ(図6参照)。

译:此外,38.8%的企业回答“裁减日本外派人员,转为本地员工”,比上次调查增加了 12.9 个百分点。虽然对新冠的防控在2023年1月前已基本被废除,对各种活动的限制也被取消,便利性大幅提高,但缩减日本外派人员的趋势似乎仍在继续(见图 6)。

図6:今後の中国事業での改善・見直しについて(複数回答可)

また、2023年3月の調査から選択肢を一部追加・修正した「湖北省政府、地元政府への要望」(複数回答可)については、「日本との定期航空便のさらなる拡充」(71.3%)と回答する企業が最も多かった(図7参照)。

译:此外,在“对湖北省政府和地方政府的期待”(可多选)这一问题中,与2023年3月的调查相比,增加或修改了部分选项。其中回答“增加往来日本的定期航班”的占比最高(71.3%) (见图 7)。

2020年に新型コロナの感染拡大を受けて運休した武漢市と日本を結ぶ定期直行便は、当地日系企業関係者を中心とした多くの要望などにより、2023年7月に再開され(2023年6月9日付ビジネス短信参照)、日本との移動はスムーズになった。しかし、7月末日時点で運航されている定期直行便は週2便のみで、就航している日本側空港は成田国際空港のみとなっており、日程や日本での居住地などによっては、中国の他都市を経由する便を利用せざるを得ない面も多くある。円滑な往来のためにも、定期直行便のさらなる拡充が望まれている。

译:武汉与日本之间的定期直飞航班曾于2020年因新冠疫情而停飞,但在以当地日资企业为主的众多呼吁声下,已于2023年7月复航(详见2023年6月9日商务简报),往返日本的交通变得更加顺畅。然而,截至7月底,每周仅有两趟定期直飞航班,且唯一通航的日本机场是成田国际机场。根据行程安排和在日居住地,很多时候人们不得不搭乘途经中国其他城市的航班。为了使旅行更加顺畅,故希望增设定期直飞航班。

「人件費上昇に対する支援(減税、補助金など)」(61.3%)、「外国人の中国駐在にかかる就労許可、査証・居留証取得にかかる柔軟な対応」(48.8%)と回答する企業も多かった。特に、査証については免除措置の復活や申請の容易化などを求める声は多く聞かれる。新型コロナ感染拡大前まで、中国は日本に対し滞在期間15日以内の査証免除措置を認めていたが、2020年にこの措置は停止された。新型コロナ関連の規制がなくなった現在、同様の免除措置が認められていたシンガポールとブルネイに対して、同措置は再開されたものの、日本に対しては中国政府が「対等の措置」が必要だと主張していることなどにより(2023年7月27日付ビジネス短信参照)、今なお認められていない。当地日系企業などからは、査証取得手続きの煩雑さや査証センターの混雑が課題で、これらにより日中間の往来が困難になっているという声も聞かれる。

译:也有许多企业回答“对劳动力成本的支援(如减税、补贴等)”(61.3%)和“为驻华外国人灵活办理工作许可、签证和居留许可”(48.8%)。 值得一提的是,对于恢复免签政策和简化申请程序的呼声也相当高。在新冠疫情前,中国曾对日本提供15天以内的免签待遇,但在2020年这项政策被停止了。目前中国虽然已经放开了新冠的管控,也对新加坡和文莱恢复了同样的免签政策,但却迟迟没有恢复对日免签,主要原因是中国政府坚持要求日本方面采取“同等措施”(详见2023年7月27日商务简报),而这些措施至今仍未得到承认。当地日资企业表示,办理签证的繁杂手续以及签证中心的拥堵也是一个难题,这些都使中日两国的来往变得更加困难。

ほかにも、「日本国総領事館の設立にかかる支持」(41.3%)と答える企業も引き続き多かった。

译:除此以外,还有不少企业回答“支持设立日本总领事馆”(41.3%)。

図7:湖北省政府、地元政府への要望(複数回答可)

中国経済の復調や往来の円滑化に期待

对中国经济复苏和往来畅通的期待

前述の通り、中期的なビジネス展開の方針に大きな変化は生じていなかったが、2023年の事業方針については、縮小を見込む企業の割合が前回調査より27.7ポイント増加するなど、中国での消費の伸び悩みなどの影響を受けて事業拡大意欲が低下していることが分かった。新型コロナ関連規制は2022末時点でほとんど撤廃されたものの、中国市場のリスクを恐れる本社の様子見姿勢や、自動車市場の不振も、足元のビジネスに影響している可能性もある。2023年7月の消費(社会消費品小売総額)は前年同月比2.5%増で増加しているものの前月から伸び幅は0.6ポイント減と回復ペースが遅いことに加え、一定規模以上の企業による工業生産増加額は同3.9%増(前月から0.9ポイント減)にとどまる。また、1~7月の不動産開発投資が前年同期比8.5%減(1~6月から0.6ポイント減)と力強さを欠いている。さらに、米中対立の長期化といった中国の国際関係に潜む不確実性もある。

译:综上所述,中期业务发展战略未发生较大变化,但对于2023年度业务方针,预计将缩小业务规模的企业比例较上次调查增加了 27.7 个百分点,表明受中国消费增长乏力等因素影响,企业业务扩张意愿有所下降。虽然对新冠的防控在2022年年底已基本被废除,但公司总部担心中国市场风险而持观望态度以及汽车市场的低迷也可能影响当前的业务。2023年7月的消费(社会消费品零售总额)比去年同期增长了2.5%,但增幅较上月回落 0.6 个百分点,回升速度缓慢。除此之外,一定规模以上的企业工业生产增额仅同比增长 3.9%(比上月回落 0.9 个百分点)。 此外,1-7 月房地产开发投资乏力,比去年同期下降了 8.5%(比 1-6 月回落 0.6 个百分点)。同时中美长期对立等中国国际关系中潜在的不确定性也依然存在。

こうした背景から、依然として中国経済の先行きは不透明な印象が強い。調査実施後にジェトロが湖北省進出日系企業へヒアリングしたところ、「中国市場のリスクを恐れる本社の姿勢が現地でのビジネス展開の方針に大きく影響している」といった声も聞かれた。また、新型コロナ感染拡大以降、中国への渡航が厳しく制限され、本社の担当者が現地を視察できない状況が長く続いていたことから、「日本との円滑な往来ができてこそ新たな投資の検討が進む」といった声も多く聞かれた。直行便は復活したものの就航本数は多くはなく、渡航には依然として査証が必要であり、日本との円滑な往来が実現しているとはいえない状況だ。

译:在此背景下,中国经济的前景仍给人一种强烈的不确定性。 调查结束后,日本贸易振兴机构还对在湖北省日商投资企业举办了征询意见会,一些企业表示,其总部担心中国市场风险的态度极大地影响了他们在该地区的业务发展战略。 此外,许多企业称,自新冠疫情以来外国人来华受到严格管制,总部负责人由于长期无法进行实地考察,表示“只有在中日两国的来往畅通无阻的情况下,才会考虑新的投资”。 目前直飞航班虽然已经恢复,但航班数量不多,来华仍需办理签证,因此并不能算是实现了中日两国来往畅通无阻。

湖北省進出日系企業の投資拡大に向けて、中国経済の安定的な成長、日本と武漢市を結ぶ定期直行便の拡大などにも期待がかかる。

译:为了扩大湖北省日商投资企业的投资,中国经济的稳定增长、增设日本与武汉市之间的定期直飞航班等也备受期待。

来源:日本贸易振兴机构 官网

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